続・七姫物語 清田編

03

「いやはや、参りましたね、これは予想外でした」

ある日、野営の準備が終わったところで、座長は自身の天幕からのそりと出てきて火を囲んでいた信長とじいやのところにやって来た。口では参りましたねと言っているが、頬が紅潮していて何だか興奮しているらしい。

「どうされました」
「姫ですよ。お手伝いばかりでどうしようかと思っていましたが、最適な役割がありましたね」
「あいつそんなに得意なことあったっけ?」

首を傾げる信長とじいやに座長はにっこりと微笑んで両手を広げた。

「彼女は凄まじい量の芝居の記憶を持っています! 見ている芝居の量がものすごいんです!」

ふたりが「それが何の役に立つんだ、愛好家なんだからそりゃそうだろ」という顔をしているので、座長は思わず吹き出し、しゃきんと背を伸ばすと咳払いを挟む。

「例えば私です。芸の道に入ってからはもう数十年ですが、その代わり純粋な観客だった時間はとても短いし、以前は城勤め、今は旅の芸人、他の一座の芝居を見る機会は、実はそう多くなかったのです。ですが彼女は春市ならその年の演目はほぼ網羅している……それをもう10年近くです!」

まだふたりは首を傾げている。それの何がすごいの。

「それはそれで経験値です。彼女の頭の中に分厚い資料がしまい込まれているのと同じ」
……よくわかんないんだけど、結局何するの」
「演出に入ってもらいます」
……はい?」

信長とじいやはピンと来ないようだが、は筋金入りの芝居好きであり、春市の王宮前広場に小屋を立てる一座の芝居を毎年たくさん見てきた。一番好きなのは春市の芝居小屋だが、それが終わってもじいやにねだりまくって城下の劇場に通い詰めていた。知識だけは大量に持っている。

「確かに姫は遊び部屋に衣装の複製を飾ったり、戯曲を読んだりしてましたけど……
「オレはもしかしてそこで一人芝居やってたんじゃないの、とか思ってたんだけど」
「どうも舞台に立ちたいという願望はないようで、できれば裏方で、と仰ってましたし」
「演出ってどういうことをするんですか」
「都会の巨大な舞台と違いますから、演出家ってわけじゃありません」

座長によると、この一座の芝居の演出を付けているのは、座長と、1番古株の役者と、元々城で書庫担当の役人だった脚本家の3人だったそうな。全員男性、全員おじさん。

「かねてより女性の感性が欲しいと思ってきました。だけどうちの看板女優は演じることにかけては悪魔憑きかと思えるほどですが、演出はやってこなかったし、実は文字を読むのが苦手で」

この一座の看板女優は元浮浪児だったという。路上生活や売春宿の下働きを経てこの一座に入ったのだが、そのせいで文字を読むのが大変苦手。だが、芝居は群を抜いて上手く、台本は仲間たちに音読してもらったものを短い時間で覚えてしまうという特技を持っていた。

女性の感性が欲しくても、どこかの大層な学院を出た舞台芸術の専門家な女性を招けるほど余裕はなかった。ひとまずなら特別待遇の必要もなく、座長は良い思いつきに興奮している。

「王子は政もわからない箱入りのお姫さん、と言ってましたけど、教養に関してはさすがに姫君、立派なもんです。古典にも詳しい。我々にとっては充分即戦力になります」

が政に関してちんぷんかんぷんなのは、政治に関する教育を一切受けていないからだ。政なんか知らなくても嫁には行けるし子供も産める。銀国国王は妃も政に参加せよという家に嫁がせる気もなかっただろう。5人目の娘などその程度の存在でしかなかった。

「そういうもんですか。確かに姫は言ってみれば芝居バカでして」
「そんなことでも役に立つんだなあ」
「一度女性向けに特化した短い芝居を演ってみたいと思っていたんです。渡りに船ですよ」

1年も潜伏している割に信長は芝居にあまり興味がない様子だし、じいやもの芝居趣味はよく知っているが……という顔で首を傾げている。

しかし数日後、演出班に混ざることになったは最初の会議で白熱した議論を展開、座長が希望している女性向けの短い芝居の脚本にも関わることになってしまった。

「お前芝居なんか書けるの?」
「いちから全部書くわけじゃないもん。会議しながら場面をいくつも作っていくんだよ」
「それがよくわかんねえんだよな」
「どうやら時間があまり取れないお母さん向けのお芝居をやりたいみたいなんだけどね」

座長いわく、立ち寄る町や村で芝居を打っても、小さい子供がいる母親は中々小屋にやってこないという。しかし座長としては訪れた先の住民は「全員入れたい」が常に目標なのである。子供向けの芝居も打つし、夜遅くに色っぽい芝居を演ることもある。だが、やっぱりお母さん層は手強い。時間がない。

なので、子供向けと同時に演ってしまおうというのが座長の案だ。子供向けの冒険譚と同時に、恋愛色の強い芝居を演ったらどうか。そういう意味でも女性の感性を求めていた。が参加したことで座長案の同時上演が現実味を帯びてきたのだが、

「さすがに全員おじさんだよね〜。おじさんに都合のいい女しか書けないの」
「はあ」
「夫も子供も捨ててあなたとの愛に生きたい! みたいなのしか出てこなくて」
「へえ」
「日頃の鬱憤が晴らせるようなのがいいんだっていうけど、そんな話で鬱憤晴れないと思う」
「ふーん」
「聞く気ないな」

そもそも芝居は特に興味がない。しかもそんなどろどろの恋愛もの、もっと興味ない。信長は野営の天幕の中でごろごろ転がりながら生返事だ。同室のじいやは先に眠ってしまったので小声だが、はまだ鼻息が荒い。

「よく小屋を出たところで見に来てた女の人が言うんだよね、恋愛の場面は素敵だったけど、女の子が癇に障るって。今まで意味がわからなかったんだけど、そうか、おじさんが考えてるからなんだなって。言われてみると私も子供向けのお芝居の女の子がいつも役立たずで泣き虫で、嫌だなあって思ってた」

それもいまいちピンとこない信長だったが、こりゃ座長の言うように演出に向いてるのかもしれないな、と納得していた。信長にとってはかなりどうでもいいことだが、一座の中にちゃんとの居場所があるのは大事なことだと思った。おそらくカイナンにたどり着いてもすぐに婚約者になれるわけではないだろうし、座長は何も言わないが、しばしカイナンの本拠地で芝居を打つかもしれない。

……なんか楽しそうだな」
「そ、そうかな、ちょっと夢中になってるなとは思ってるけど」
「今まで不安なことばっかりだったから……熱中できることがあってよかったな」

信長は体を起こすと首を伸ばしてキスをする。それ以上何も出来ないけれど、これでも一応心から惚れている相手だ。キスしか出来なくても気持ちは変わらない。

が作る芝居、楽しみにしてるよ」
「の、信長が見ても面白くないと思うけどな……
「台本出来たら、甘い台詞、読んで聞かせて」
「えっ、ダメ夫に愛想つかした妻が音楽隊作って大儲けする話だよ!?」
「愛に生きたいんじゃなかったの!?」

ふたりは慌てて口を押さえ、寝返りをうつじいやを見つつ、くすくすと笑った。

数日後、軽快な音楽劇になるという女性向け寸劇は、脚本執筆と並行して音楽の演出会議も開始、ピアノは習った程度などと謙遜していたも、好きな芝居の主題曲をそらで弾けるほどの腕だったと判明、彼女が演出班に入って最初の作品は順調に作られていった。

そうして2ヶ月あまり、ごくごく短い音楽劇はある町で試験的に上演されることが決まった。村よりは大きく街よりは小さいその集落は煉瓦作りが昔から盛んで、主力の産業が力仕事になるため女性は家で内職をしていることがほとんど、男性優位の風潮が色濃い土地柄だという。ぴったりだ。

早速営業に出た座長は言葉巧みに町長をそそのかし、昼にはお子様とお母様に見ていただきたいお芝居があります、と強く推した。もちろん夜には肉体労働の男性たちが喜びそうな芝居も準備している。力自慢の純朴な男性の冒険譚で、お色気つき。

大きな宣伝は打てなかったが、女性の入場料を子供料金並に下げ、子供が見ている間の暇つぶしにどうぞ、などとさり気なく呼び込みをかけた。が、始まってみるとダメ夫に愛想をつかした妻5人が音楽隊を結成して大儲けする音楽喜劇である。これが大当たり。

その上終演後には「このことはどうぞ旦那様にはご内密に」と主演女優がとどめを刺したので、この町では計4日間の公演を打ったが、それこそ座長が目標にしていた「全員入れる」がまずは女性で達成されたという。初演を見た客がすました顔ですっ飛んで帰り、町の女性たちに吹聴して回ったのだ。

中には4回全部見たという猛者もいて、格安な鑑賞料金でも充分な儲けが出た。座長有頂天。

そういうわけで、初めて演出に関わった芝居が大成功を収めたは、この一座の中にようやく居場所を見つけたのである。この音楽喜劇は次の町でもまた次の町でも上演され、その間に手入れを繰り返していき、やがてはプロメテ座で長く演じられる物語へと成長していった。

さておき、そんな道のりを経て、は一座の幌馬車に揺られながらカイナンにたどり着いた。

一座の中で居場所を見つけ、関わった芝居は好意的に迎えられ、はやっと一座の仲間に入れてもらえたという感触を得ていた。中でも一座の女性たちからは、こんな芝居がやってみたいんだけど、などと要望まで出てくるようになった。

そういう和やかな雰囲気の中、は信長の故郷であるカイナンの城下町へと入っていった。

「まずは我々のねぐらへ行きます。我々が王子の諜報活動を支援していることはもちろん公表していませんから、取次を頼みます。その間に身支度をして、私と一緒にお城へ上がりましょう。陛下には既に一筆差し上げているので、事の次第はご存知のはずです」

信長の父であるこの国の国王に謁見をするのだと思ったら途端に緊張してきた。王宮の中からほとんど出たことがないなので、当然外交の経験もなく、よその国の王族と言葉をかわすのは信長が初めてだった。その次が一国の王とは。

「大丈夫ですよ。私がずっとおそばにいますし、なんならお話はじいやさんにお任せなさい」
「自分で話さなくていいの? 失礼にならない?」
「それも場合によりけりですが、王女様は自分からペラペラ喋らないのが普通なのでは」
「はあ、そういうものですか」
「王子とじいやさんによく打ち合わせをしてもらいましょうね」

出自を偽って姑息な嘘をついてもバレたときが怖いし、そもそも信長自身が身分を偽って諜報活動をしていたのだから、なぜ16歳の女の子とおじさんふたりを連れて帰ってきて謁見まで取り付けたのか、という言い訳も立たない。それを見越して座長は先に手紙を送っていた。

座長本人の筆で、もう10年以上面識のある本物の側室の子であること、政には一切関わっていないこと、行くあても野心もなく、ただ王子の情けにより同行してきた哀れな王女であることが先に報されており、それが恋仲であることについては信長が責任を持って説明することになっている。

信長の主張としては、今のところ許嫁もいないし、政略婚で親密な関係になっておきたい特定の国があるわけでもないし、王子が結婚するのには少々若いかもしれないが、それはもう数年待ってもいいので、を婚約者と認めてもらいたい、というもの。

現在は王女という身分を完全に失った状態だが、そこは彼女の母親の身分、某国国王の妹――の娘という体で押してみることになった。実は、母方の血筋だけでも充分だったりする。カイナン同様小さな王国とは言え、国王の姪、ということになるからだ。

そういう縁が生まれればの母親の国とも繋がりができるし、何より自分が見初めた娘と一緒になりたい、だから認めてもらえないだろうか――という方向で信長とじいやは話がついた。じいやは主にの母親についてを説明する役割だ。

先に信長が城に帰り、はじいやとともにプロメテ座のねぐらである城下町の劇場館でドレスを用意したり、方々に散っていった家族たちからの手紙を読んだりして過ごしていた。その間一座はが関わった音楽喜劇を上演、この町でも好評を持って迎えられていた。

一座がこの町に戻って4日目、座長のもとに登城せよというお達しが届き、とじいやは正装で馬車に乗り込んだ。あくまでも呼び出されたのは座長、とじいやはそのお供として付いていく。

……確かに私が育った城に比べると」
「小さいでしょう。しかも本当に大きいのは手前の部分だけ。あとは町家と変わりありません」

一応城下町とは城壁で区切られていて、そびえる3つの尖塔を持つ美しい城だが、何しろこじんまりしているし、座長の言うように正面から見える部分以外は城壁に隠れていて何も見えない。城壁もそれほど高くはないので、かなり慎ましい作りの城であるようだ。

の育った王宮は、本館東館西館の3棟で構成されており、政の場である本館は縦にも横にも巨大な作りになっていて、王族が暮らしていた一番小さな西館ですら地上3階地下3階だった。それと比べてしまうと、なるほど信長が「の国にへいこらしているような小さな国」というだけはある。

「しかしカイナンは古い国ですね? 興りを考えると、我が国より」
「まあ、それは遠い話です。似たような国々と並んで何とか体裁を保っている小さな国家ですから」
「私も我が国などと、つい。私ももう銀国の人間ではないでしょうな」

じいやと座長の話を聞き流しながら、はぎゅっと手を握りしめた。謁見のために一座のお針子さんが調達してくれた正装は、この国の様式だ。の生まれ故郷のものではない。手袋だけは新しいものを、とお針子さんが仕立ててくれた真っ白な手袋ですら、見慣れない意匠をしていた。

故郷もない、家族もない、身分ももちろんない。私に残っているものは一体なんなんだろう――

緊張と同時に体の真ん中が空っぽになるような錯覚を起こしたは、何度も深呼吸をしては気持ちを宥め、小さな王城へと足を踏み入れた。すれ違う人々に気軽に挨拶している座長の後ろを俯いて歩きながら、あの時王宮前広場で見た爆発を思い出していた。

あの爆発は私がやったことじゃない。だけど、それを招いたのは父親だ。それは変わらない。

謁見の間の大扉でさえ、が暮らしていた西館の食堂広間の扉と大差なかった。その扉が開かれると、これまた思っていた以上に小さな謁見の間で、3人はすぐに国王と王妃の両陛下、そして傍らに王子殿下の控える玉座の前に進み出た。

「陛下、大変ご無沙汰しております」
「座長、世話になったな。文は既に受け取っているし、息子から話も聞いている」
……どうか寛大なお沙汰を願います」

そもそも陛下と座長は付き合いが長く、たったひとりの世継ぎを任せるほど信頼関係がある。なので余計な挨拶も挟まずに話が始まったけれど、とじいやは顔も上げないまま控えている。一体息子と話して陛下はどう考えたのやら。

「寛大な沙汰はともかく、出来ぬ相談だ」

静かな謁見の間に、陛下の低い声がじわりと吸い込まれていく。

「そちらの姫のお血筋はもちろん問題ない。それは構わん。しかし銀国が侵略戦争を企て人さらいまでして、挙句に城下を爆破されて、たった数時間で国王を処刑されたことはこんな小さな国の民でもよく知っている。その国の第5王女が王子の婚約者になりますと言って納得すると思うか?」

陛下の声は静かで淡々としていた。息子と話し合った末の考え、というよりは、座長の文を受け取った時点で完結していたように思える。状況を考えたら不可能なことで、審議の余地はない。そんな風に。

「銀国がこんな状態でなければ、あるいは縁談でも持ちかけられようものなら我々は頭を下げてありがたくお受けせねばならんところだが、そういう状況にないことは誰でもわかる。こんな吹けば飛ぶような国だから、王子が自分で選んだ姫と添いたいというのも、他国ほど難しいことじゃない。しかしそんな国だからこそ、民の感情を逆撫でするようなことはしてはならん。この国が存続する限り我々は民とひとつであり、互いに信頼しあっていなければならない」

これを聞きながら、は「いい王様だな」と思った。そもそもはの父と祖父が侵略戦争を企てていて、このカイナンのように小さな国に戦への参加を促し始めていた、それを止めたくて暗躍していた親子である。唯一の跡取りである王子に諜報活動をやらせてまで国を守ろうとした王様であることは間違いない。それは城下を爆破されるような自分の父親とは真逆の人物だ。

座長もじいやも口を挟めない。陛下は国を預かる者として王子の願いを退けるしかないからだ。

「姫、殿と言いましたか」
――はい」
「お国の悲劇には同情申し上げる。あなたももちろん罪のない被害者のうちでしょう」

が顔を上げると、信長に面差しがよく似た精悍な男性が見下ろしていた。国王陛下と言いつつも豪奢な装いではなく、それは隣に並んでいる可憐な王妃様も同じだった。まっすぐに陛下を見上げるに、陛下の眼差しは優しかった。

「あなたに問題はない。王子が自分で選んだのだから、父親としてはそれに意義はないけれど、国王としてそれを許可できないことは、わかっていただけますね。息子とはこの数日大喧嘩をしましたが、今この大陸南部が不安定な状況の中では、父親より国王であることを優先するのが私の責務です」

確かに王子の婚約どころの話ではない。今すぐにこの国が戦乱に巻き込まれることはないだろうが、問題は何も片付いていないようにも思える。改めて、良い君主だなと思うとともに、はどんどん空っぽになっていく身のうちが冷たくなって、思わず両手をきつく握りしめた。

そしてちらりと視線を巡らせると、そこには初めて見る「王子様」の装いの信長が佇んでいた。

しかめっ面をしてるけど、かっこいいなあ。は改めてそう思った。信長は私の王子様、本物の王子様だったんだなあと思うと、わけもなく泣きたくなってきた。彼の父親に逆らう気はない。国王陛下の気持ちもよくわかるから。そんな君主に守られているこの国を羨ましくも思った。私の父親もこんな人だったらよかったのに。

「わかって、おります」
!」
「わたくしの身の上を思えば、陛下のお考えは一番高い可能性として、ずっと覚悟しておりました」

の声が震えているので、つい駆け寄ろうとした信長を陛下が止める。

……城下への滞在は許可しましょう。座長に全て任せる」
……かしこまりました」
「陛下、少しお待ちを。姫、何か望みはありますか」

話が終わりそうなので、慌てて王妃が口を挟んできた。父親と違い、母親の方はを同情的に案じている様子だ。陛下が少しためらってからそれを黙認することにしたようなので、は背筋を伸ばし、腹に両手を組んで口を開いた。の望みは、もうこれしか残されていない。

「王子殿下を、いつまでもお慕いしたいと、思っています。それだけ、お許し下さいませ」

いつまでも信長を好きでいたい――にはもう自分の心の中しか自由が残されていなかった。しかめっ面の信長が眉を下げて肩を落とした。陛下も少し肩を落とし、胸に手を当てて頷いた。

「あなたの心はあなただけのもの、私が許さなくても自由ですよ」

謁見は終わり、は座長とともに下がった。だが、じいやだけが引き止められて、残った。