ご主人様、願いをどうぞ/湘北編
三井の場合
初めまして新しいご主人様、ランプの魔人、です。願いをどうぞ
- 三井
願いって……急に言われても
ま、多少のルールはありますけど、基本なんでもどうぞ
- 三井
えええ〜そうだな、ええと、あっ、そうだ! 安西先生を痩せさせて健康な体に! 病気しない! 疲れない!
はあ、そんなことでいいんですか、お安いご用で
- 三井
いやー助かるわー! ありがとな!
いえいえ、では残りふたつは
- 三井
ふたつ? ああ、3つまで叶えてくれるんだっけ
はい、どうぞ
- 三井
……時間、って、無理だよな?
あなたの頭の中だけなら進めたり戻したり出来ますけど
- 三井
ま、そーだよな。うーん、そう言われると出てこねえなあ
ま、ごゆっくりどうぞ。こっちは何年経っても死にませんので
- 三井
えっ、そーなんか
生まれて3000年、ランプに入って1000年ですんで
- 三井
はあ!? ここにか!? こんな所に1000年!?
入りたくて入ったんじゃないので畳み掛けないでください
- 三井
出られないのか?
まあそうですね。ご主人様が願い事ひとつ消費して私の自由を願ってくれなければ出られない仕様になってます
- 三井
そりゃまた……
そもそもが3つですからね。それを私のために譲ろうなんていう――
- 三井
じゃあオレが譲ってやるよ、今から自由になれ
奇特な方はまあいらっしゃらな――はい? あああああああ!!!
- 三井
おお、足生えたな! 魔人ていうけどほとんど人間じゃねえか
ああああなた何考えてんですか!
- 三井
いや、だってなんか残り思いつかねーんだもん
だからって……! ああどうしようシャバ久しぶりでどうすればいいか
- 三井
昔は何やってたんだよ
一応信仰の対象になってましたもので、人の役に立ったり災いをもたらしてみたり、意外と空気読まなきゃいけないし神経使うんですよ
- 三井
それも大変だなあ。人間になればいいのに
人間が自分の意志で人間やめられないのと一緒ですよ
- 三井
あっそうか、じゃあほれ、今から人間になーれ
はあ!? ああああああ魔法使えない!!!
- 三井
ははは、高校生くらいに見えるぜ。学校来れば?
そ、そんなのんきな……! てかあなた、結局3つとも他人のために使っちゃったじゃないですか!!! なんてバカなことを!
- 三井
いやいいよ、別に。なんか思いつかないし
いやあるでしょうよ、ほらお金とか名誉とか
- 三井
そーいうのは自分で手に入れたいからいいよ、別に
そんなあ……
- 三井
なんだよ、せっかく自由になって魔人もやめられたのに
だって私1000年引きこもってたんですよ、いきなり人間になっても、家族も友達もいなくてひとりでどうしたら……
- 三井
……とりあえず友達ならひとりいるじゃん
あー、ランプの精の友達はたぶん今頃シリアあたりですかねえ
- 三井
いやそうじゃなくて、オレ
は?
- 三井
ほれ、握手
はあ、えっと、ありがとうございます
- 三井
友達じゃなくて、彼女でもいいけど
ファッ!?
- 三井
いやその、魔法使えるうちに準備とか、しときゃよかったよな。家族とか友達も用意出来たかもしんねーのに
……いえ、魔法でもそれはちょっと無理なので、構いません
- 三井
そ、そうか、じゃ、まあ、そういうことで
あの、結局、どっちなんですか
- 三井
え!? お、お前はどっちがいいんだよ
わ、私はどちらでも……自由にしていただいただけで……
- 三井
…………じゃあ、彼女
は、はい、よろしくお願いします
- 三井
お、おう、やっぱり学校来るか? なんてな、ははは、ははは……あああああああああああああああああ!!!!!!!
ど、どうしました!?
- 三井
お前本当にもう魔法使えねーの!? ひとつも!?
……人間になっちゃったので。まさか、今頃――
- 三井
推薦! 大学の推薦!!! あああああああああああああああああ