12/2023
鑑賞記録2023年末
特に今年は視聴本数が少なく、66本。途中で合わないことに気付いて視聴をやめた作品を長々と見てしまったので、それだけタイムロスした感じ。みんなが好きって言うから把握しておこうかな、なんて無駄なことだったなあとちょっと反省。
2023年公開で見たものは少なく、でも一番よかったのは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」。ドラマは「探偵ロマンス」。2024年もたくさんエンタメを見たいけど、作業がもっと捗ってほしいのとで悩ましい。
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ピーターパン&ウェンディ ★★★★☆(3.6) アップデートウェンディと根の深いブロマンス
ステイ ★★★☆☆(2.8) はっきりしない解釈自由とか苦手で…
異動辞令は音楽隊! ★★★☆☆(2.8) 邦画らしい邦画。期待しすぎた
アリス(1988) ★★★☆☆ 確かにテニエルの挿絵がなければこういう作品が溢れていたのかも
AIRエア ★★★★☆(3.6) あの説得は実話なんだろうか。売れすぎワロタ
ライト/オフ ★★★★☆(3.6) 彼氏(未定)が単純バカいい人すぎるだろう…
地獄へとつゞく部屋 ★★★★☆(3.6) 雰囲気好き。でもみんなバカすぎないか
ラ・ジュテ ★★★★☆(3.8) フランスっぽすぎる。そして大塚明夫を堪能する30分
アナライズ・ミー ★★★★☆(3.8) なぜかなんとなく面白かった
クリスマス・ウォーズ ★★★☆☆(2.8) ネタは悪くないのになぜか面白くないやつ
ブラックフォン ★★★★☆(3.6) 面白かったけどなぜか微妙に後味が悪い
NOPE ★★★★☆(3.8) 見事なデザインと繊細な物語だけど没入しきれず
エスター ファーストキル ★★★★☆(3.6) やはり前日譚なので控えめというか…
ガール・オン・ザ・トレイン ★★★☆☆(3.2) ミステリっていうから見たのに…
ブルー・マインド ★★★☆☆(3.2) おっさんが絶賛するタイプのやつ
スプートニク ★★★☆☆(3.4) よくある感じの。露産てだけで台詞や設定に無駄な緊張感が…
アンテベラム ★★★★☆(3.8) お ぞ ま し い。現実にあり得るから余計に気持ち悪い
キャンディ・ケイン・レーン ★★★★☆(3.8) たのしい! PTX!
FREAKS フリークス 能力者たち ★★☆☆☆ 主人公のキャラ造形がひどい…高評価なの理解出来ん…
ファーザー・クリスマス ★★☆☆☆(2.4) 色々ひどい
マーベルズ ★★★★☆
おそらく「MCUとしてはどうであれ、映画として評価出来ない」って言われるであろうタイプの1本。実際、予習はなくても大丈夫!なんていう作品ではない。中身(ドラマ)も「キャプテン・マーベル」に比べてしまうと非常に薄い。
でもまあいいんですわ、ファンとしては。そんなことどうでも。Msマーベル大好きなので、本当に本当に本当に楽しかった。カーン家愛しすぎる。今回は前回よりかなりコミカルにポップに作られてるけど、それが「女子チーム」っぽさを際立たせていて、こういうところもMCUのいいところ。かと思えば、「シークレット・インベージョン」の重厚シリアスは何だったのというフューリーパートの、コミカルというか、正直無意味さというか、猫というか、にゃあああああ!!!!!! あの「メモリー」はあれへの当てつけとかでは…ないよね…? このくだらなさがMCUっぽい…! かと思えばモニカが! ラスト! 息止まったよマジで! ケヴィン・ファイギ「もうすぐお見せ出来るはずですよ」ってほんとにすぐだったじゃんよ!!!
このところヒーロー映画不振と言われていて、過去と比べると確かに数字は低調なのかもしれない。だけどエンドゲームまでの10年がおかしかっただけかもしれないし、まだまだヒーロー映画は楽しい!面白い!世界は広がる! ってのを実感してきた感じだった。今回のヒーローとしての活躍がどうでも、やっぱりキャロル・ダンバースは大好きだし、モニカもカマラも本当に大好き。みんな最高。思い返してみると主要なキャラクターの中に白人がひとりしかいないという、それはそれですごい作品でもあった。
ロキ S2 ★★★★☆
前作の方が怒涛の展開だったので狭く静かな印象はあるけど、キー・ホイ・クァンのウロボロスというキャラクターが秀逸。先日有罪判決が出て解雇になってしまったジョナサン・メジャースも演技自体はよかった。ミスミニッツとレンスレイヤーパートも常にホラーじみた演出が途切れなくて緊張感。今回の結末を迎えたことで、もう続編は作られないと思っていいんだろうか。ロキはともかくレンスレイヤーは終わってないよなあれ…
TAR ★★★★☆
単純にとても上手い映画。そこに当て書きでケイト・ブランシェットなので無駄がなく確かに洗練されたスコアのようで、意外性とかどんでん返しとか伏線とかそういうものはない。特にこの手の専門性の高い台詞が多い作品てのは共感を必要としないし、教訓だとか気づきとかも無用。それこそラストシーンの時点で彼女が得た境地だろうし、芸術に立ち向かう者は得てして世俗的な栄光や幸福を取り上げられてしまうことも多い。おそらくリディアには他に道がなかったし、彼女はなるべくしてなった結末にたどり着いたし、でもラストの彼女はまだまだ道半ばでもあり、出来ればもう10年分くらい彼女の辿る道を見てみたい気にもさせられる。残念なのは私にはラストの楽曲と観客の意味がすぐに分からなかったので、あれが分かっていたら拍手喝采だったかもしれない。でもこういう映画を好む人ってやっぱりあれがどういう意味なのかすぐにピンと来ない人が多いんじゃないのかな…? 不祥事起こしたけど芸能職やめられない人が見たら号泣なんじゃないだろうか。
search2 ★★★★☆
前作に引き続き今作もめちゃくちゃ面白かった。
とは言っても初っ端に突破しなきゃならないのが他人のパスワードで、普通ならそこで詰む。だからそこが「スマホよく分からなくて意味のあるパスワード使い回しの親とその恋人」であった時点で探索は比較的ハードルが低くなっていたわけだけど、なので一見「デジタルネイティブならではのスキルでネットを最大限利用して謎を解く」て感じだけど、それよりも「デジタルデバイスだらけの中で生活しているということと事件との絡め方」が上手すぎた…という感じ。
実際デジタルネイティブと言っても、スマホしか使えなければやっぱり今回の話は成立しない。スマホとパソコン(Macだけど)とスマートウォッチだけでなく、それが社会でどう機能しているか、どう使われているか、ということまで網羅できてないと厳しい部分もあった。友達の方がダイレクトに情報となるヒントを見つけるのが上手かったりもしたし。しかも主人公はデジタルデバイスを完全に使いこなしているようで、セキュリティはガバガバだったわけだし、ある意味では犯人の方が高度なデジタルスキルを持っていた。というか洋画見慣れてると主人公母子がどういう状態なのかは途中で予測がつくし、そうするとパズルのピースが一気に埋まり始めてしまうというユルさはあった。ただその「比較的低いハードルの前提」を基点に組み立てたストーリーの緻密さ、無駄のなさ、加えて見ている方にも先が見えないが何となく予想を付けられるようにヒントを散りばめる塩梅、そういうものが上手すぎる。まさに「謎が謎を呼び物語は二転三転、衝撃の結末」と言える出来なのでは。てかこれまだ作れるんじゃない…? 3いこうよ…
フリークス ★★★★☆(3.8)
普通に面白かったし、演者が実際の障がい者であることは現代人にとっては特に奇異には感じない、実に普通な感じ。しかも面白いことに、これだけユニークなキャストの中に入ってしまうと、似たような金髪白人女性であるヴィーナスとクレオの区別がつきにくくて、序盤は大混乱。当時も今も外見が平均値からはみ出すことは迫害の対象になるけど、この世界では逆に没個性に陥るってのはなんとも面白い皮肉。ハンスとフリーダは姉弟らしいけど、まあお姉ちゃんの可愛いこと。で、みんな驚愕のタバコに火。どうなってんのよあれ…ああいうのこそ「人間には無限の可能性がある」っていうんじゃないの…
ザ・セル ★★★☆☆(2.8)
な ん で ト イ レ 使 っ て 排 水 し な い の ? というか給水量に対して排水能力が負けるからってのは分かるけど、天井まで届いた時点で給水が止まるなら、トイレの排水でなんとかなるはず。タンクレスでも繰り返せば助けにはなると思うんだけど、こういうシーンで女は泣き叫ぶしか能がないって描写がな〜。洗面台の排水をどう止めているのかも謎。最初はセル内で漂白しているのかと思ってたけどそうでもなさそうだし…。しかも精神世界のデザインやトンデモサイエンスが高評価でびっくり。やっと80年代センスが抜けてきた2001年にこのけばけばしいデザインはちょっと古臭いと見る方が…マトリックスよりも後なんだけど…。その上被害者の生命がかかっているのに犯人のメンタルケアに必死になっちゃう主人公…これが80年代の作品ならまだ分かるんだけど…
ザリガニの鳴くところ ★★★★☆(4.2)
単純にものすごく面白かった。主人公の生い立ちや青春(?)についての描写がほとんどを占めているので、普段ならすごく退屈に感じたと思うけど、何をやっても誰と知り合っても危ういのが終わらず、案の定な展開になっていく…と、結末含めてそこそこ読めてしまうんだけど、それでも面白かった。原作小説があるようだけど、相違点はどの辺なんだろうか。主人公の育った環境を考えると都合のいい展開や設定も多いけど、そういう物語にしては嫌悪感はほとんどなかった。それは原作も監督も脚本も制作も(クレジット上の)全員が女性だったからだろうか。自然の中で暮らしたカイヤ、自然には善悪がなかったのかもしれないからね。
イコライザー THE FINAL ★★★★☆
原題は「Equalizer3」なんだけど邦題はファイナル。まあしつこく続編を求める気持ちはない。マッコールさんの「隣人愛」があの小さな美しい街で人々に囲まれた暮らしという形に結実するなら、それでいいというのが正直な感想。マッコールさんのお仕置は基本的に「自分以外の誰も助けの手を差し伸べてやれない人々」に向けられていて、敵の能力や規模は度外視。マッコールさんの目の届く範囲で市井の人々に危害を加えた瞬間、バカタレの運命は決まってしまうのだし、そこにドラマはあまり必要ない。傷を負ったマッコールさんがまだ死ぬことを許されず、階段を一段一段登り、疲労と葛藤が気力を奪っても、彼の隣人愛だけは尽きることがない。それは彼が見上げた十字架を背負った誰かに似ている…そんな雰囲気も感じられるロケーションに慈悲ゼロお仕置が炸裂でフィナーレ。これでいい…これでいいんだ…パスタ食おう…
バッドガイズ ★★★★☆(3.8)
話題性ばかりのキャスティングにしては良い方。とはいえ山口勝平さんと甲斐田裕子さんがいるとどうしても粗が目につくな…やはり斉藤貴美子さんは最高だな…と思ってたんだけど高橋真麻うめええええええええええリポーター役だからほぼ本職なのだとしても、ちょっと個性のあるキャラだったから上手く読めるだけでは違和感が出たであろう役どころ。アナウンサーって地味に吹替えいいんですよね。それがフリーの方でも基礎が違うのか、テレビ俳優よりよっぽど上手いということは結構ある。内容はまあ、キッズ向けとしてベストなところをきっちり線引いて取っていった感じ。猫かわいい。
ライダーズ・オブ・ジャスティス ★★★★☆
復讐ダメ絶対、とか、犯人確定してないじゃん、とか、そういうことじゃない映画。心の傷とセラピーにあたる様々な行動や感情やらを復讐劇に乗せた物語という感じな上に北欧映画なのでもっと雰囲気で見るタイプの作品だと思う。重苦しさと激しさの両極端マッツも悪くないが、今回はマッツでなくともよかったキャラクターかもしれない。でもきっとこういう拗らせ方をした弱ってるマッツを見たいと思った人がいたんだと思う
RUN/ラン ★★★★☆(3.8)
逃亡スリラーというか、何かの支配から逃れるタイプの作品はありふれてるけど、細かい所がきちんと現代化されていて、その辺すごく好感を持った。かつては主人公が都合よく愚かな行動をすることで緊張感が増し、結局最後は誰かに助けてもらって難を逃れるという展開が多かったけれど、多くのハンディを抱える主人公が自分で出来る限りの努力と挑戦を続けたのがとてもよかった。あるいは途中で差し伸べられる救いの手が、都合よく悪役を信じるなどの頓珍漢な行動がないのも。多くのレビューでは「母の愛」と元になったと思われる実際の事件から「代理ミュンヒハウゼン症候群」にばかり意識が向いているようだけど、着想を得たと思われる事件とは真相の部分で決定的に異なるアレンジが施されていたことで、母の愛も代理ミュンヒハウゼン症候群もスリラー表現のシステムであり、結局のところは主人公を奮い立たせた要素こそ物語の肝だったのではと思う。どうにも母の愛というものに対し神聖視が過ぎるきらいがあるようで、真相が明らかになれば納得の経緯なわけだけど、そこが汲まれてないのは作品がちょっと可哀想。代理ミュンヒハウゼン症候群も部分的に異なる意図が含まれているし、ちょっと違うんじゃないのかな。自分の力で道を切り開いていくことや、自分の意思、自分の選択こそが自由であり生きる意味であるという、まあアメリカ映画らしいテーマだったんじゃないかと思う。ラストも批判が多いようだけど、まあ当然と言えば当然の結末。なぜかこういう加害者を哀れに思い擁護したがる人は多い。というか、それが何であれ、「親に逆らう子」というものを許容出来ないんだろうなあ…
炎の少女チャーリー ★★★★☆(3.8)
こういう終わり方大好物…! ていうかそもそもネイティブ・アメリカンのメンズが大変好みでして、なのでとてもとてもとてもやばい…! あのあとどうなったんだ…! どうなったんだよお前らー!!!少しくらい匂わせて行けよー!!! いや、勝手に深読みをすればあのラストはそれまでの関係はどうであれ取り残された者同士にしか理解し得ない共感、例えがおかしいかもしれないけどストックホルム症候群のようなある種の結びつきが生まれてしまったわけで、全てを知る者がもう他にはいなくて、お互い失うものも持っているものもなくて、手を取り合うことしか出来なかったと思うんですよ。どちらも目の前の相手だけが自分を証明する存在というか。やばーーーーーい!!! エモーーーーーい!!!!!! 主人公が未成年だったからこの程度の興奮で済んでるけど、成人してたらこんなものでは済まない…
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル ★★★★☆(3.8)
きっとおそらく最初で最後の村井ハリソンをスクリーンで拝んできた。もう村井国夫の吹替えで育ってしまったので、本人の声に違和感を感じるレベルで、だけど村井さんの方も年齢を考えるとそれなりのクオリティかもしれないことは覚悟して臨んだんだけど、とんでもない、今でも変わらぬハイクオリティ! 多少モタつく箇所もあるんだけど、そもそもハリソン・フォード自身の年代を考えるとむしろ自然。というか村井さんの方がちょっと若く聞こえるし、なんなら過去の作品より声が低く深くなってて今の方がさらに美声! たまらん! たまらん村井ハリソン!
で、まさかマッツが話題性吹替えかと慄いていたキャストも蓋を開けてみれば安心安定の超絶技巧でほんとに井上マッツと坂本ヘレナの心地良さときたら…。そして大塚バンデラスの有難さ! これよ! これなのよ! というジャストフィット感。
肝心の内容に関してはまあ、絶賛はされないかもしれないけど批判もそんなにない程度、をきっちりまとめた感じ。クリスタルスカルがかなり冒険したと思うので、そういうリスクは取らずに「インディ・ジョーンズっぽさ」を集めて丸めてそぉい!!! ていう。なんせマッツの使い方が正しすぎて笑っちゃうくらい。アンティキティラ島の機械の翻案というかアレンジはかなり好みで、トンデモSF感は強いけど空のシーンのデザインやエフェクトはすごくよかった。だから系統としてはわりとクリスタルスカル系。ナチスとやり合ってるのは変わらなくても、失われた聖櫃や最後の聖戦とは異なる。なので旧三部作とはちょっと離して考えた方がいいと思う。十分楽しいし見応えもあるし感慨深い作品ではあるけど、その辺が好みの分かれ目かなあ。あと、全体的に満足だけど内容にしては長い気はする
ネタバレ
戸田マリオンはずるいわ…だからまあクリスタルスカルを無かったことにはしない直接的な続編ということになるんだけど、正直マットのキャラクターも演じてる人も好きになれなかったから、タイミング的にちょうどよく亡くなってる設定で個人的にはよかった。当時スピルバーグのお気に入りでキャスティングされたって感じで、しかもラストで「この子が後を継ぐかも…!?」みたいな演出が本当に嫌だったから、それが完全に無かったことにされてたのはマジでホッとした。
ところでバンデラスはチョイ役が過ぎませんか。あの程度のキャラクターと考えるとバンデラス大物すぎると思っちゃうんだけど、どうなの…? わたしが思ってるよりバンデラスって小物なの…?
終盤、墜落寸前のマッツとその部下、バカふたりが「マジ詰んだ」って馬鹿ヅラしてる状態でついワロタ。人類を月に送り込んだ物理学者がなんであんなバカなのよw だからまあ、歴史の遺物を「世界は全て数学で解明できる(キリッ」程度の知識で軽々に扱った結果てことなだけなんだけどさ…
バジルが誇大妄想に取り憑かれていたわけではなく、真実を見抜いていた天才だったという展開自体は好きだけど中の人がアレなので、いやそいつヒドラだよ! って脳内がわめく。時代設定もぴったり合ってるし余計にゾラに見えちゃうよ…
アンティキティラ島の機械を元にした「ダイヤル」、それ自体がタイムマシンだとか、それをどこかにセットすると作動するオーパーツだとかではなく、「そもそも時空の裂け目はしょっちゅうその辺で開いたり閉じたりしてて、あくまでもそれを計測する機械」っていうのが好きすぎた。ダイヤルとは言うものの、あれはやっぱり計測器であって欲しかったので。そのさじ加減がほんとによかった
ジョン・ウィック:コンセクエンス ★★★★☆
一応ファイナル…なのか、な? 何気にこのシリーズは画の美しさも素晴らしくて、アクションのスタイリッシュさをより引き立ててるんだけど、それは今作でも健在。あくまでも1作目に比べると「ヘッドショット一発で確実に仕留めて無駄弾は撃たない」というアクションは減ってしまったものの、時間経過の都合上モタつかざるを得なかった2〜3作目よりはテンポも早くて、長い割にサクサク見られる。長回しのように天井からのカメラワークなんてのも面白くて、ほんとにずーっとバトルしてるけど飽きない。惜しいかな犬成分が少なかったけど、まあ結末を考えるとそんなに多用出来なかっただろうしね…。
でも今回はなんと言ってもリナ・サワヤマ! の演じるアキラ!!! 個人的に大注目の人物なので贔屓目に見てるところはあるにせよ、演技もアクションも初めてとは思えない仕上がり、そして名だたる大物キャストの中にいてしっかりと存在感を出せているのがすごい。それらを抜いても単純にかっこいい! 彼女がのちのちどうなったかははっきり描かれていないので、スピンオフがほしい。とてもほしい。そしてもっともっと映画やドラマでお目にかかりたい! エンディングテーマもよかった!
ブラックアダム ★★★★☆(3.8)
文句なくかっこいいロック様は充分に堪能出来るんだけど、如何せんテンポが悪いとか、コミカルとシリアスのバランスが悪いとか、そういうところが面白くない感じに見せてる気がする。DCEUとしても中途半端なカラーというか。あとその5000年の眠りから目覚めたテスアダムのキャラクターがどうにもターミネーター2のT-800っぽくて、それも使い古した感がある。確かにDCEUのパワーバランスを変える強さのキャラだとは思うけど、今さらロック様が「暴力も必要」とか言い出すのも説得力がない。というか去年末公開で「自由のために暴力武力で戦争しようぜ!」というのはタイミングが悪すぎる気がする…。ヒットしなかったのは内容が全てではないと思うけど、まあロック様がもったいないだけで、作品としては続編がなくてもいいのでは…て感じの出来だった
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 ★★★☆☆(3.2)
原題は「JurassicWorld/Dominion」、「ドミニオン 意味」で検索するとザッと概要が出てくる。それが正しいのであれば、この邦題マジで大丈夫なのか…原題は頭文字が大文字で、そっちなら内容と合ってるけど…。とまあ邦題も酷いけど中身もなかなか酷い。これでシリーズが一旦終わることを考えても有終の美とは言い難く、旧三部作の3人が揃ったものの、それを活かせていたとも言い難く…。炎の王国で撒いた雑な種をなんとか刈り取るための後始末に終始して、頭文字大文字の方のドミニオンに全部放り投げてドア閉めた、みたいな。だからやっぱりこの監督さんの評価は改めるべきだと思うんですよ…
月世界旅行 ★★★★☆(3.8)
あまりに有名な人面月のアレ。見たことなかった。というか現代ではショートフィルム、物理レンタルや購入の時代にはこういうのってなかなか見られないものだった。配信のいいところってこういうところでもあるんだよな…というのはさておき、世界初のSF映画というにはネタ元が多く、発想も案外陳腐な感じなんだなと思っていたところ、それら意図的に風刺として描いているかもしれない、とのこと。なにしろ監督さんがもともと風刺画家。これだもの、古今東西エンタメはいつでも批判や風刺や問題提起と隣合わせの文化なんだよなやっぱり。昨今そうしたメッセージ性なんかを批判する傾向が強いけど、そういうのを一切排した作品ってプロパガンダっていうんじゃないの。
ジャスティス・リーグ スナイダーカット ★★★★☆(3.8)
内部のゴタゴタなんか何も知らずに劇場公開版は楽しみ、なんなら2回見に行った。で、しばらく経ってから問題が吹き出してきて、この「ジャスティスリーグ」自体はとても好きだけど、正直いまは興味を失ってる。というところで見てみると、いかにザック・スナイダー離脱後の方向が「人気のあるMCU作品みたいな感じ」だったのかってことがすごくよく分かる。そもそも後任はあのアベンジャーズ1作目を監督した人物であり、その方向なら適任すぎる適任だった。まあそこも問題ありすぎたし問題は何も片付いてないのかもしれんけど、それを踏まえてこのスナイダーカットを礼賛し、劇場公開版を非難するのはちょっと納得いかなかったりする。なぜならスナイダー監督の目指していたものをポップでコミカルな方向に変えさせたのは、ひとえにMCUのコミカルな作品が大ウケしてたからに他ならないし、「MCUはそれでいいんだよ、でもDCでそれは認めない」みたいなのはあくまでもファンの中にある嗜好でしかないわけだし、果たしてこのクソ重いダークなジャスティスリーグだったら商業的失敗にならなかったのかと言えば、そこは別にそうでもないと思う。なぜならこのジャスティスリーグより以前、マン・オブ・スティールとバットマンVSスーパーマンの2作はいつまでもネチネチと「DCは暗くて陰気臭い、ザック・スナイダーは画が重すぎる」という難癖をつけてる人がものすごく多かった。そしてガーディアンオブギャラクシーやらソー:ラグナロクを絶賛していた。そりゃコミカルな方に舵取りしたくもなるだろ。確かにスナイダー監督作としてスタートしていたのだから、監督にご不幸がなければこのカラーのジャスティスリーグになっていたんだけど、それがダークナイトのようなヒットや評価になっていたはずだ…とはあんまり思えないんだよな…。スナイダー監督は好きだし、ディレクターズカット自体は面白かったけど、個人的には正解のない宙に浮いたままの作品になってしまったなと…
アソーカ ★★★☆☆
初めての「納得いかなかったスターウォーズ作品」。とはいえそれを批判する気はなくて、ファンは概ね高評価みたいなのでまあ良かったんじゃないかと。もちろん楽しめた部分はいっぱいあって、それは嬉しかったけど、主人公のアソーカ以上にサビーヌが目立ちすぎたとか、フォースの感応能力って頑張れば身につくものではなかったはず、という、まあ解釈違いかなと。あくまでもこれはスピンオフだし、本編ラインでなくてよかった。いや今後の作品でやられる可能性はあるけどさ…
フラッシュ ファイナル ★★★★☆(4.4)
正直、個人的なシリーズのピークはシーズン3で、その後の4〜8はどうにも不満が多く、1〜3で高まってしまったシリーズへの愛着と不満の間でモヤモヤしながらの視聴だった。だけでなく、シーズンが新しくなるごとに新キャラが増えていき、そのせいではないと思うけどシリーズ終盤はメインキャラが(恐らく演者の意思で)離脱していき、シリーズものに欠かせない「メインキャラによるシリーズファミリー」がどんどん崩れてしまった。シーズン9にあたるファイナルでは結局シーズン1から変わらない状態でレギュラー出演したキャラはなんとふたりしかいなかった。他はたまに出てくるだけだったり、演者は同じでも別人キャラクターだったり。そういう状態だったから、シーズン7〜8あたりなんか物語ほとんど覚えてない。ただただシーズン1〜3に育ってしまったこのドラマの世界への愛だけで見てた。
それを踏まえてファイナル、前から最後はやっぱりリバースフラッシュとの対決、イオバードがラスボスであってほしいと思ってた。顔はどっちでもいいからシーズン1のイオバードがなんらかの形で立ち塞がるファイナルを期待してたんだけど、ソーンはソーンでもまさかのエディというのにはさすがに驚いた。驚いたけど、でも精算というか、シリーズを片付けるという意味ではよかったと思う。やっぱりファンもどこかでバリーとアイリスの幸福にはエディの犠牲があってこそなのにたまに被害者ヅラが過ぎると思うことはあったんじゃないかな。その点はウォリーも同じで、フラッシュの手を焼かせるクソガキキャラを使い切った途端に左遷されて、レジェンドの方でもすぐにお払い箱になって、味方サイドのスピードスターっていう設定の煽りを食ったとしか思えない扱いは制作サイドも気になってました…と言わんばかりの精算エピソード。どうせならジェシーと再会してほしかったし、最後の集まりにはいないし、ちょっと中途半端なシメだった気はするけど、精算エピがあったことは嬉しかった。
というところの、アロー回。なんですかこれアロー最終回仕切り直しですか? これぞ最終回、最終回ってこういう感じですよね普通、っていう。そもそもアローファイナルはアローってキャラクターなのに矢もなきゃ衣装も違うもので都市型のクライムアクションなシリーズだったのに宇宙とか救っちゃってたので、正直ポカンだった。なのでこのフラッシュファイナルの中とはいえ、実にアローらしいエピソードが入り、ディグルとのシーンが入ったのがもう感慨深くて感慨深くて。いやその世界を救うために戦ってる後ろを路線バスが普通に運行中とかいう低予算感はすごかったけど。アローバース、きちんとファイナルを迎えられたのはスーパーガールとフラッシュだけかもしれなくて、スーパーガールの方はナショナルシティの中だけで完結してたし、なんだか「アローバース」のファイナルだったのでは…って気がしてならない。そもそもアローバースが広がることになったのはアローからフラッシュが派生したことによるわけなので、そこがきちんと物語を閉じることが出来て、またそれを見ることが出来て、ほんとうによかった。オリバーはなんだかエラいことになってるし、バリーはフラッシュを続けていくようだし、マルチバースはまたどんどん増えて蘇ってるみたいだし、いやアース2のハリーが消滅したことは未だに許し難いけど、タイムレス・ウェルズが普通に存在しててパーティにも来てるのがなんか嬉しかった。
そこそこ全員集合なファイナルだったけど、やはりシスコは来ず…。みんな大好きシスコだったけど、中の人が選んだのはフラッシュではなくロマコメミュージカルだった。それでも何度かセリフに「シスコに連絡をする」と登場させて、シスコはちゃんとアーガスにいるからね、とダメ押しのように見せてくれたのはありがたかった。ディグルは来てもライラは現れず、アーガスが姿を現さないのもありがたかった。アーガスが直接絡むとどうしてもシスコ恋しさがキツくなってきちゃうから。
そういう意味でも、シーズン1の基礎をある程度そのまま引き継いでたシーズン3くらいまでが安心して見ていられたんだよな〜。個人的にはラルフは好きではなかったので、中の人の問題でフェイドアウトしてくれたのはよかったんだけど、余計に新キャラ頼みになった気がしないでもないし、その流れでいうとアレグラも苦手だったんだよな…スーの方がよかった。それに何よりノラがめちゃくちゃ苦手だったからシーズン5以降は本当〜につらかった。スターラボでバリー、シスコ、ケイトリン、ウェルズが問題に対処してて、噛んできてもウェスト家、くらいで充分だったし、それは見たいけどノラがギャーッてキレるたびにげんなりして、一旦消滅して役割を終えたのかと思って安心してたけど以後も結構頻繁に戻ってくるからしんどかった…。
とはいえ改めて全9シーズン、初期メンバーが毎シーズンまったく成長せずに右往左往する9年間だったけど、楽しかった。大好きなドラマが9年も続いたこと、それをすべて見届けられたのは本当に感謝。一貫して吹替で見たので、吹替キャストの方々にも感謝。どなたも本当に素晴らしかった。
これにて私のアローバースも完結、レジェンドが途中なんだけどサブスクでまとめて見られるところがU-NEXTしかないので、恐らく当分は見ることもない。フラッシュは何年かしたらネトフリでもファイナルまで見られるようになるかもしれないけど、まあ期待しないで待っておくし、シーズン3くらいまで見られれば充分だったりもするけど、そんな感じでこれからも見ていきたいと思う。未だに初期スターラボは見ていて飽きない。本当に大好き。スマホのロック画面をスターラボのロゴにしてあるんだけど、これも余程のことがない限り変えないと思う。たまたま地上波で深夜にシーズン1を放送してたので見てみただけのシリーズだったけど本当に楽しかった。毎年恒例新シーズン楽しみでしょうがなかった。そんな時間をありがとう。今までもこれからも、ずっと大好き!
探偵ロマンス ★★★★☆(4.6)
ブラボー!!! これぞNHKクオリティ。某鑑賞記録アプリでは酷評の嵐だけど、要素を無駄なく使い、無駄に拡大することもなく、エピソードとしても縦軸としてもすっきりとまとまっていて、余計なシーンもなく、「探偵もの」の様式美もふんだんに盛り込み、ロマノフ王朝なんてもはやファンタジックなモチーフも使い、きな臭い時代の嫌らしさ、暗さ、妙な明るさ、今にも空から災いが降り注いで来そうな空気感、そういうものを時代考証をしつつ上手く現代に重ね合わせてる。犯人と物書きと犯罪と探偵という物語の中に、よくここまで自然に現代(SNS、LGBTQ、フェミニズム、テロ、カルトなど全部入り)を馴染ませたなと。というか結局主人公サイドの「正義」が現代的であり、日本ではあまり好まれないタイプのものだったので余計に受けが悪いのかもしれん(世界的に見ればエンタメとしてはスタンダードではある)(それを意識してたのであれば尚更ブラボー)。でもそういう「受けが悪い理屈」の中で暮らしているのはすごく苦しいので、「物語を作る人々」が、例え綺麗事でも、夢物語でも、ファッションだったとしても、フィクションの中の世界でそれを叫んでくれるということが嬉しくて。小柄な方の主役の中の人もそれを夢見てると言ってくださったし、全てひっくるめて素晴らしかった。続編ありそうなので楽しみに待ちたい。