鑑賞後は絶対ネタバレするな、と箝口令まで敷かれた、おそらく一部のキャラに関しては完結編であろう、集大成の前編。邦画によくある引き伸ばして後編へ! という間延は一切なし、本編は149分ありますが、結構スピードは早い。
現時点MCU19本の締め始めに相応しく、良い作品を作る監督さんが「ヒーロー映画のせいでオレの映画がヒットしねえ」とかいうみっともないことを言い出すほどに肥大したシリーズを、そのスケールを壊すことなくさらに広げてぶつけてきた。無難な道を選ばず、手抜きもなく、10年間積み上げてきたものを全て、余すところなく放出し、けれどいくつかの要素にとっては次へ繋がる通過点にもしてあり、実に骨太で芯の通った作品。10年を戦ってきた絶対的なプライドを感じる。まずそれが惚れる。
ひとりで映画1本の主演を背負える方が何人も集まって149分、公開前からそれぞれの人物たちの描写が疎かになるのではという危惧はありました。ほぼやっかみだと思いますが、どうせそういう浅い作品になるはずだという厭味ったらしい推測も少なくなかった。しかし蓋を開けてみたらそこも問題ない。もちろんいきなりこれだけ見たら何のことだかさっぱりわからない作品ですが、19本、全MCU完走してるファンは世界中にいるので、今日からのご新規さんよりも、10年共に駆け抜けてきたファンと一緒に終わりを始めることを選んだのも潔い。
このMCU最初から今ほどの特大ヒット続きだったたわけではなくて、最初の「アイアンマン」の成功ありきのスタートで、そこから1本1本、10年19本かけて積み上げてきた結果がこのインフィニティ・ウォーだと思うと、感謝してもしきれないし、ずっとずっと拍手を送っていたい。19本すべての作品があったからこそ、どのタイトルが欠けてもこのインフィニティ・ウォーはなかった、と思える作りになっています。そういう意味でとても重厚で、ポップコーン食べながら笑い飛ばす頭の悪い映画…とは思いません。
今回の悪役サノス、これがまたいいキャラなんです。それは「実は善人」とかいうことではなくて、このところ流行りの「観客ひとりひとりの心の奥底にあるものへ疑問を投げかける」ことができる悪役なんですね。手段と理屈はテロリストそのものです。カルト宗教の教祖じみたところもあります。だけど、日本ではあまり感じられないことかもしれませんが、このサノス、どこか「全知全能の唯一神」を想起させるところがあるんですよ。ソドムとゴモラ、ノアの箱舟よろしく、ピークを過ぎたら崩壊していくしかない事象を食い止めるため、敢えてピークに手がかかる前に「間引き」をすることで、命を永らえさせる。それを自身の絶対正義として揺るがず、その上ただの狂人暴君ではなく、他者に愛情を持てる存在だったことが明らかになってしまい、もう手がつけられない。
さて、そういう顛末を経て、本作では集結したヒーローがバンバン消されました。サノスが指パッチンしたので無作為に選ばれた人類の半分がサラサラ~っと粉になって消滅。人類補完計画ハーフ。
だーけーど!
今回消されたヒーローのうち、新スパイダーマン、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー、この3名は、既に続編が決定してるんです。特にスパイダーマンとブラックパンサーはものすごくヒットしたので、1作目公開直後に続編決定!とかいうニュースが出たくらい。しかも時系列が今回より前、ということもなく、このインフィニティ・ウォーを乗り越えた末のエピソードになる。そのため、サラサラ~っと粉にされて消されたヒーローたちは生き返る可能性があるわけなんですよね。そこは正直興ざめでした。
何ならこのシリーズの中核を担う、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソー、この3人の中の誰かを失うことになるかも…? という覚悟は充分にあったのですが、終わってみれば何とそこは全員無事。今後もしばらくはMCUタイトルの主演を張るキャラばかりがサラサラ~っといったので、そこはちょっとどうなんだろう…とは思いました。
さらに、MCU中最もふざけたテンションのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーですが、もちろんそのノリは今回も健在で、まあここも異様にヒットしたのでシーンが多いのは当然の流れとも言えますが、事もあろうにそこが原因でサラサラ~…ですよ。個人的にGoG苦手なので、余計につらかった。
さてそのGoGヒットの煽りを食い、シリアスとコミカルのバランスがよかったマイティ・ソーは昨年、唐突に方向転換をしてコント映画にされました。そのおかげでコント映画の中で主人公ソーは「幼馴染の戦友であり親友である仲間が死んでも悲しむことなく延々ふざけるキャラ」にされていました。故郷の星が襲われ、家族が死に仲間が死んでもふざけていました。それがものすごくショックでした。ソーは未熟ながらも王の器を持つ高潔な人物だったはずなのに、そういう側面を全部なかったことにされ、その上それを「前は根暗でつまらなかったけど、(コント映画化したら)ものすごく面白くなった」と絶賛されたわけです。私がマイティ・ソーシリーズの対象者から追い出された瞬間でした。
……が! 今回マイティ・ソーはそれじゃ話にならないんです。
そもそもソーはMCUアベンジャーズの中のさらに中心人物、ほぼ地球の人間で構成されているヒーローたちの中では一線を画すパワーを持つ「神」のはずなんです。なので、失った武器を取り戻し、この危機に対して真面目に立ち向かう必要があります。その途上、GoGに救助された縁でまたコントをやる羽目になっていますが、その前に弟ロキと友人ビフレストを殺されます。ソーは叫び、涙を流して悲しみます。
おかしいね!? 前作で君大事な人たちが死んでもコントやってたよね!?
と、個別タイトルとは別に主軸があるのに作品のカラーを捻じ曲げたしわ寄せが出た。その点はバカだなあと思うんですが、結局ソーは我が身を省みずにサノスに対抗しうる手段を手に入れ、かつての、コント化する以前のキャラクター性を取り戻して地球に降り立ちます。泣いた。本物のソーが帰ってきた気がしました。あのふざけたソーをそのまま持ってくることは出来なかったんです。延々ふざけたことしか言わないソーのままでは、アベンジャーズには戻れなかったんです。高潔な王位継承者に戻さなければ、中心帰ってくることはかなわなかった。コント化された時の傷が癒やされた気がしました。
そのために弟ロキと友人ビフレストがブッ殺されたのかと思うともにゃりますが、むしろこの弟ロキという主人公よりも人気のあるキャラを再登場不能にしたことで、万が一生き返らない限りは、もう現行キャストでのマイティ・ソーシリーズは新たに作られない。このままアベンジャーズの終結とともに、終わってくれることだと思います。それを切に願います。
おそらく、前編の締めとして死んだ方が話が盛り上がるであろうアイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソーの3人が生き残ったということは、改めて後編にて全ての決着を付けた時に死ぬ、ないしは勝利をもって完結とし、アベンジャーズシリーズは一旦幕を閉じるのでは。特にMCU最大の功労者であるロバート・ダウニーJrはそろそろ解放してあげなければならない頃合いです。
作ればヒットするんだから永遠にやれよ! ファンのために! という某グループの解散劇を思わせるレビューはしょっちゅう見かけます。ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを引退した時も大量にありました。まだまだ稼げるのにここでやめるなんて愚かしい、そういう理屈で。しかし、作中の設定は据え置きでも中の人は確実に年令を重ねていくし、トレードマークのキャラだけを演じていたら、役者としてのキャリアはそこで停滞したままになります。ファンとして、終わって欲しいと思います。
さておき。
今回のキャップはかっこよかった…実にかっこよかった…前髪が長くてめっちゃかっこよかった…普段はかきあげてるんですけど、戦ってると乱れてきます…かっこよかったわあ…。わたしクリエヴァはファンタスティック4からで、というかそれとキャップくらいしか知らないんですけど、一番かっこよかったわあ…。
あとねえ…色々特殊能力持ったヒーローたちの中で、訓練積んでるとは言え完全にただの人間であるナターシャとオコエのふたりがねえ…共に戦うんですけど…それがかっこよくて…でも149分あっても尺はギチギチに詰まってて、短いんですよお…ファルコンとウォーマシンももっと見たいんですよ…
でもストレンジ先生は割とたっぷり出番があって、技めっちゃ増えとる…!しかもエンシェント・ワンみたいな蝶出してきたー! っていうのでなんかもう忙しくて途中で離脱したウォンがどうなったのかちょっとkwsk
私も最後のマークは知らなくて、でもどう考えてもキャプテン・マーベルしか残ってないし…と思ったら当たりでした。連ドラと勘違いしてて、後編までにシーズンいくつ見なきゃいけないんだよ…と思ってたら単独映画だったのでちょっと安心。このインフィニティ・ウォーを見て、アントマン、キャプテン・マーベル、で、一年後に後編といった感じでしょうか? 長い…
それにしても、サミュエル・L・ジャクソンをサラサラ~っていかせる時に「マザーファッ…」って言わせる執念なwww
ついでに、悪役サノス、この人タイタン星人なんですが、地球には宇宙船でやって来るんですけど、その宇宙船がドーナツ状でして、それなんのプロメテウス!? スペースジョッキーじゃん!!! というw
で、帰り道でようやく気付いたんですが、MCUアベンジャーズのオリジナルメンバーであるはずのクリントが出てこなくてですね…あとアントマンもいなくてですね…
ちなみに後編には真田広之さん出るらしいですが…。
本日アイアンマン地上波放送あるんですが、MCU作品、改めて見直したいなあと。良い終わりの始まりでした。
武器人間 ★★★☆☆ 武器人間のデザインがおしゃれすぎる。吹替えのキャスティングが頭おかしいw
ターザン:REBORN ★☆☆☆☆(1.5くらい) ゴリラにボコスカ殴られたら死にますよお。乙女な叔父貴はよき。監督で納得
LOOPER ★★☆☆☆ ジョセフ・ゴードン=レヴィットを30年寝かせるとブルース・ウィリスになる映画
悪魔のいけにえ ★★☆☆☆ 古典、名作にして原点、史上最高のホラーらしいんですけど…ただひたすらうるさかった…
ゾンビ ★★☆☆☆ 元祖ショッピングモール使い放題。やっぱり面白さは感じられず…
レッド・ドラゴン ★★★★☆(3.6くらい) 単純ではあるんだけど、見ごたえはある。博士ほんと好き
ヘル・レイザー ★★★☆☆ デザインがいい。これはハマる人多かったろうな…
フロム・ダスク・ティル・ドーン ★★★★☆
たまらん好き…! めっちゃ面白かった…! 一部でタランティーノ映画ということにされている22年前のロドリゲス映画。というかこれ見たらタランティーノじゃなくてロドリゲスだわあ…ってことくらいわかんねーでタランティーノ映画とか言ってんじゃないよ…という愚痴はさておき、その一部で信仰を集めるタラさんの盟友ロドリゲスさんらしい、実にアホな、しかしどこまでもかっこつけたエンタメ性の高い作品でした…。世に広く作品はあれど、ここまで途中で内容が90度直角に曲がるタイトルもないのではw 私どうにもこのロドリゲス監督の作品がツボに入りやすくてですね、監督作品はおそらくほぼ見ているはずなんですけど、外れがないと言うか、相性が良いんですね。そういう監督さんがですよ、まだ49歳なんですよ。ありがてええええええ! …と同時に26歳でデスペラードを撮ったのかと思うと、やっぱこの人頭おかしいわwww(褒めてる)